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【年税額の計算と税額控除】


年税額の計算

所得控除額の計算が終われば、残りは僅かです。今までの計算過程をまとめておきましょう。

 計 算 区 分

金    額

税    額

給与・賞与の支給総額

非課税となる支給額 (通勤手当など)

差   引   金   額

給与所得控除後の給与等の額

6,634,900

221,400

     6,413,500

     4,689,600

 

 

 

社会保険料の徴収額

所得税の徴収額(12月分を含む)

(12月の給与・賞与の源泉所得税)

724,153

 

96,180 

(11,920)

所得控除額

●配偶者(特別)控除額

●扶養控除、障害者控除等の額

●基礎控除

●社会保険料控除額 

●生命保険料控除額

●損害保険料控除額 

110,000

1,480,000

480,000

724,153

118,000

43,250

 

差引課税対象額(1,000円未満切捨て)/所得税額(100円未満切捨て)

1,734,197

 

1,734,000

86,700

復興特別所得税額を含めた税額 (上の額の102.1% )

88,500

税額の計算は次の式に当てはめて行います。

課税給与所得金額(A)

税 率

控 除 額

税      額

 

1,950,000円以下  

  5%

(A)×   5%

1,950,000円超  

3,300,000円以下  

10%

97,500円  

(A)× 10% - 97,500円

3,300,000円超  

6,950,000円以下  

20%

427,500円  

(A)× 20% - 427,500円

6,950,000円超  

9,000,000円以下  

23%

636,000円  

(A)× 23% - 636,000円

9,000,000円超  

18,000,000円以下  

33%

1,536,000円  

(A)× 33% - 1,536,000円

18,000,000円超  

18,050,000円以下  

40%

2,796,000円  

(A)× 40% - 2,796,000円  

上の例の場合は

  1,734,197 ⇒ 1,000円未満切捨て 1,734,000 × 5% = 86,700  ⇒   86,700 × 102.1%= 88,500 (100円未満切捨て)

になります。96,180円 と 88,500円との差額  7,680円が徴収し過ぎになっています。

上の計算表はずいぶんと大雑把なものですから、各自工夫していただきたい … と言いたいところですが、自分で作らなくても税務署が準備してくれています。「所得税源泉徴収簿」の右側は「年末調整」の計算欄になっていて、年税額の計算には丁度手頃な内容です。この欄を利用することをお勧めします。

【補足:最終支給月の源泉徴収税額】

上の例では12月の支給額を計算する際に、12月分の所得税額も一旦徴収したものとして、年間の支給額・控除額を計算しています。

年末調整月の所得税額を仮に「0」として、集計処理をすることもできます。この場合は、11月までの徴収税額 84,260円と年税額の 88,500円を比較して年税額に不足する 4,240円 を12月の徴収税額とします。

 

12月の徴収税額

還付すベき金額

12月分の所得税額も集計する場合

11,920

  7,680

12月分の所得税額は集計しない場合

 4,240

0

当然ですが、最終の金額は同額です。

税額控除

住宅の購入等のために借入れをした人で借入れ残高のある人は、住宅借入金等特別控除を受けることができます。

この制度については毎年のように改正があり、適用を受ける年度によって少しずつ内容が異なる点に注意してください。

■制度の概要

住宅(家屋及び住宅用敷地)の取得・増改築のために借入れをした場合で、年末に借入れ残高がある場合は、借入れ残高の一定割合を所得税額から控除します。

適用を受ける期間

毎年のように改正があります。

所得制限

合計所得金額に一定の制限があります(3,000万円以下が通常です … これは年度によって異なります)。

借入金

返済期間が10年以上のものが対象で、利息が1%未満のものは除かれます。

また、借入金額のうち一定額(5,000万円~2,000万円で、年度によって異なります)を超える部分には適用されません。

適用初年度

 

適用を受ける初めの年は、確定申告によってこの制度の適用を受け、次年度以降は年末調整によって適用を受けます。確定申告をすると、税務署から本人に「住宅借入金等特別控除証明書」と2年目以降の「住宅借入金等特別控除申告書」が送られてきます。

適用を受けるためには、初年度に確定申告をしなければなりませんから、適用要件を満たしているか否かを年末調整の担当者が判断する必要はありません。また、年末調整によって税額控除をするのは、適用を受けた次の年度からです。

提出された書類(証明書)が正しく記載されているか、計算されているかを確認します。

 

年    度

住宅借入金(取得)等

特別控除申告書 (A)

年末調整のための住宅借入金

(取得)等特別控除証明書 (B)

住宅取得資金に係る借入

金の年末残高等証明書

必要書類(証明書)

 

前年に初めて適用を受けた場合

必要

必要

必要

前年より前に適用を受けている場合

必要

前年に引き続き同じ内容で年末調整する場合は不要

必要

 平成24年6月以降 (A) と (B) は1枚の用紙で、兼用になっています。 は借入先の金融機関等が発行したものです。

申告書の確認

年末調整で住宅借入金(取得)等特別控除を行うのは、前年以前に適用を受けたものの経過年度分です。内容について毎年のように改正されますから、適用を受けた年度に従い計算されているかを確認しなければなりません。 

「住宅借入金等特別控除申告書」には控除の税率等は予め印刷されていますから、「年末残高」が正しいか、控除額が正しく計算されているかの確認が必要です。

【補足】年末調整では受けられない所得控除・税額控除

次の所得控除・税額控除は年末調整では受けることができず、確定申告(還付請求)をする必要があります。

■所得控除

雑損控除

自然災害・火災・盗難などによる損害のある人

医療費控除

高額の医療費(10万円か所得金額の 5%相当額を超える額で、年200万円が上限)の支出があった人

寄付金控除

国、地方公共団体などへの寄付金で、1万円を超えるもの

■税額控除

配当控除

政党等寄付金特別控除

 


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