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*** 決算の実態 ***

会計上の決算は、一定の手順に従って行う機械的な処理に過ぎません。頭を悩ますのは

利益が多く出そうな場合は 税金 です。決算利益の計算が税務申告の出発点で、利益が多ければそれだけ税金も多くなります。

費用にできるもので、見落としは無いか ⇒ これは、常識ですね。

違う処理方法を選択して、費用を増やせないか ⇒ 税法で認められる範囲で検討することになります。この範囲を超える場合を「脱税」と言います。

貸倒れ引当金は限度額まで繰り入れる

利子・配当の源泉所得税は、損金処理でなく税額控除で処理する

少額(30万円未満)の減価償却資産は、即時償却の適用を受ける

既に新しい事業年度に入っている場合、打つ手はほとんどありません。

赤字の事業者には銀行はまず 融資 しません。借入を計画している社長さん(経理部長さん)は大変です。税務申告用の決算書と融資申込み用の決算書を作っても、いずれはバレてしまいます。

引当金の繰り入れをしない

減価償却費を計上しない

仮払金を精算しないで、そのままにしておく

青色の個人事業者で専従者がいる場合、専従者の給与・賞与を減額する

等々で、表面上は赤黒逆転できる可能性はあります。しかし、見る人が見れば、見抜かれます。

借入金を抱えているのに赤字続きになる場合は、銀行の 貸し剥がし が心配です。

売却して利益の出る資産は無いか?

役員が会社に資産を貸し付けている場合は、賃借り料を免除してもらう

銀行以外からも借入がある場合は、利息をまけてもらう

等々、少しでも赤字を減らさなければなりません。

いぜれにせよ、決算期に入ってから慌てても手遅れです。

まじめに帳面をつけていれば、月ごとの損益も計算できます。もちろん棚卸など決算の手続きはしない概算ですが、これでも大勢は判断できます。

予定より黒字が増えそうな場合は、

●設備投資を予定より早める  ●従業員教育に予算を割り振る、増額する ●賞与を予定額以上に支給する

等の手を打てそうです。

赤字が出そうな場合は、経理処理の検討だけでなく、取引先との交渉も早めに開始することができます。

製作・著作    協進会  2003/12


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