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特 別 償 却

■ 特別償却の概要

税法には各種の特別償却制度がありますが、これらは減価償却制度を利用した課税の繰延措置と見なす事ができます。

●初年度

  特別償却

適用資産を取得(事業の用に供)した年度でおいて、取得価額の一定割合を普通償却とは別に償却することができます。

特別償却

割増償却

●割増償却 適用資産を取得(事業の用に供)した年度から一定期間、普通償却の一定割合を別枠で償却することができます。

オリーブ色の三角形部分は、通常の償却をした場合の償却額の合計額を現わします。特別償却・割増償却の場合は、( A + B ) の部分が償却額になり、早期の償却が可能です。

初年度特別償却では取得初年度の、割増償却であれば割増期間の償却額(費用)が増えまが、早期に償却を終えるため償却終了後の年度では償却額分だけ費用が減少します。

つまり、課税の繰延効果が生じることになり、投資の初期に税負担の軽減によって資金繰りが改善されます。

●要件など

特別償却は各種ありますが、一部例外を除いて青色申告が要件です。

また、特別償却に償却不足額がある場合は、1年間の繰越が認めらます(不足分を次の年度の償却限度額に加算することができます)。

●経理方法

法人では帳簿価額を直接減額する方法と、特別償却準備金に積立てる方法がありますが、個人事業の場合は直接減額する方法でしか対応できません。準備金に積立てた場合は、申告調整で積立額を損金算入(減算調整)し、次年度以降に一定割合でこれを取崩して益金算入(加算調整)します。

■ 特別償却準備金に積立てる方法

会社法は第五条2で「償却すべき資産については … 相当の償却をしなければならない。」と定めています。税法で認められている特別償却は「相当の償却」には該当しませんから、法人では特別償却準備金に積立てる方法によらなければならない … ことになります。小さな会社では問題にならないかもしれませんが、以下解説しておきます。

準備金の

積  立  と

申告調整

準備金に積立てる額を繰越利益剰余金から振替ます。

   繰越利益剰余金   1,000,000    特別償却準備金   1,000,000

別表4で減算調整します。留保欄に記載しますから、その結果を別表5(1)に反映させます。

   別表4     (減算・留保欄) 「特別償却準備金」        1,000,000

   別表5(1)  (当期増欄)   「特別償却準備金認容額」  △1,000,000

なお、繰越利益剰余金から振替えた特別償却準備金を明示するため、別表5(1)には「特別償却準備金認容額」とは別行に特別償却準備金を記載します。

 別表5(1)

区    分

期 首 現 在

当  期  減

当  期  増

差引翌期首現在

利益準備金

 

 

 

 

              :

 

 

 

 

特別償却準備金

 

 

1,000,000

1,000,000

特別償却準備金認容額

 

 

△1,000,000

△1,000,000

      :

 

 

 

 

繰越損益金

 

*******

 (1,000,000)

 

 

              :

 

 

 

 

特別償却準備金の積立額は繰越利益剰余金(繰越損益金)の減少額の一部と対応しています。青字部分は内部振替です。

準備金の

取崩しと

申告調整

 

準備金は、特別償却対象資産の耐用年数に応じて次の年数で均等に取崩します。

2年〜5年 ⇒ その耐用年数

◆6年〜9年 ⇒ 5年

10年以上 ⇒ 7年

上の例で、取崩しの年数が5年の場合は、次の申告調整をします。

準備金の取崩し額を繰越利益剰余金に振替ます。

   特別償却準備金   200,000    繰越利益剰余金   200,000

別表4で加算調整します。留保欄に記載しますから、その結果を別表5(1)に反映させます。

   別表4     (加算・留保欄) 「特別償却準備金取崩し」      200,000

   別表5(1)  (当期減欄)   「特別償却準備金認容額」    △200,000

 別表5(1)

区    分

期 首 現 在

当  期  減

当  期  増

差引翌期首現在

利益準備金

 

 

 

 

      :

 

 

 

 

特別償却準備金

1,000,000

200,000

  800,000

特別償却準備金認容額

△1,000,000

△200,000

  △800,000

      :

 

 

 

 

繰越損益金

 

 

*******

 

      :

 

 

 

 

■ 割増償却の適用期間

割増償却は一定期間その適用を受けることができます。

例えば、5年間の割増償却適用を受けることができる資産を取得し、3年目から適用を受けるために明細書 (該当別表に必要事項を記載)を提出すれば、以後3年間は割増償却が可能となります。

特別償却・割増償却に償却不足額がある場合は、1年間の繰越が認めらます。では、3年目に初めて適用を受ける際に、2年目に割増償却が可能であったはずの金額を償却不足額として、合わせて2年分の割増償却する … ことはできるでしょうか? 

これはできません。償却不足額を繰越せるのは、その明細書を提出した年度分に限られます。2年目に提出した該当別表が、割増償却の適用を受けるが実際には償却額を処理(計上)せず不足額として繰越す … 内容になっていないとだめなのです。

製作・著作 (有)協進会  2009/12

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